技術コラム
高ナットとは?特徴や用途、六角ナットとの違いを解説
本コラムでは、高ナットの基本構造から、一般的な六角ナットとの違い、用途、選定時のポイントまで分かりやすく解説します。
高ナットとは
高ナットとは、一般的な六角ナットよりも全長が長いナットのことを指します。
「長ナット」や「ジョイントナット」と呼ばれることもあり、内部には全長に渡ってねじ加工が施されています。
通常の六角ナットは締結を目的とした部品ですが、高ナットはそれに加えて、
・長ねじ同士の接続
・部品間の高さ調整
・スペーサー代用
・締結長さの確保
といった役割も担います。
特に、寸切りボルトや全ねじボルトとの組み合わせで使用されるケースが多く、建築設備や配管支持などでは非常に一般的な部品です。
また、高さ寸法を自由に設定できるため、標準品だけでなく特注製作品として使用されることも少なくありません。
一般的な六角ナットとの違い
高ナットと一般的な六角ナットは、どちらも内ねじを持つ締結部品ですが、用途や役割には大きな違いがあります。

高さ寸法の違い
一般的な六角ナットは、締結に必要な最小限の高さで設計されています。一方、高ナットは全長が長く、より多くのねじ山を確保できる構造です。
そのため、高ナットは長ねじ接続や強度確保に適しています。
用途の違い
六角ナットは主に「固定」が目的ですが、高ナットは「接続」「延長」「位置調整」といった用途にも使用されます。
例えば、寸切りボルトを途中で連結する場合、一般的なナットでは対応できませんが、高ナットであれば確実に接続することが可能です。
強度面の違い
ねじのかかり量が増えることで、高ナットは荷重分散効果が期待できます。特に、長期使用や振動環境では、ねじ山への負担軽減につながります。
ただし、使用条件によっては過剰締付けによる変形や焼付きにも注意が必要です。
高ナットの主な用途
高ナットは、単なる締結部品としてだけでなく、接続・支持・調整部品としても幅広く使用されています。

寸切りボルトの接続
もっとも代表的な用途です。
配管吊りや建築設備で使用される寸切りボルト同士を接続し、長さを延長する目的で使用されます。
配管・空調設備
ダクト設備や空調配管では、高さ調整や支持部品として高ナットが活用されています。
特に現場施工では、細かな位置調整が必要になるため、高ナットによる調整機能が役立ちます。
産業機械
機械カバーや架台固定、スペーサー用途などで使用されます。
高さを一定に保ちながら締結できるため、部品間のクリアランス確保にも有効です。
電気設備・制御盤
盤内部品の固定や絶縁距離確保などにも使用されます。
比較的小径サイズが使用されるケースが多く、真鍮やステンレス材が選定されることもあります。
高ナットの材質と表面処理
高ナットは使用環境によって、適切な材質や表面処理を選定する必要があります。

鉄(SS400・S45Cなど)
もっとも一般的な材質です。
強度とコストのバランスに優れており、多くの設備で採用されています。
ステンレス(SUS303・304・316など)
耐食性が求められる環境で使用されます。
食品設備や屋外設備など、水分環境下での使用に適しています。
真鍮
導電性や装飾性を重視する用途で使用されます。
電気設備や電子機器関連で採用されることがあります。
また、表面処理としては、
・ユニクロメッキ
・三価クロメート
・黒染め
・無電解ニッケル
・ジオメット処理
などが代表的です。
使用環境に応じた防錆対策が重要になります。
高ナット選定時のポイント
高ナットを選定する際は、単純にサイズを合わせるだけでなく、使用条件を考慮した仕様選定が重要です。

ねじサイズとピッチ
寸切りボルトとの組み合わせでは、ねじピッチ違いによる締結不良に注意が必要です。
特に並目・細目の違いは見落とされやすいため、事前確認が重要になります。
必要強度
荷重条件に応じて材質や長さを選定する必要があります。
長すぎる場合はたわみや緩みの原因となる場合もあります。
使用環境
屋外や水回りなど、使用環境に応じて適切な材質や表面処理を選定することが重要です。
耐食性が必要な場合は、ステンレス製も選択肢となります。
作業性
取り付けスペースや工具の使用可否を確認し、締め付けや取り外しがしやすい形状・寸法の
高ナットを選定することが重要です。
よくあるトラブルと注意点
高ナットは便利な部品ですが、使用方法を誤るとトラブルにつながる場合があります。
もっとも多いのが、ねじのかかり不足です。
長ねじの挿入量が不足すると、十分な強度が得られず、荷重によって抜けや破損が発生する可能性があります。
また、過剰締付けによるねじ山破損も注意が必要です。
特にステンレス材では焼付き(かじり)が発生しやすく、取り外し不能になるケースもあります。
さらに、長尺高ナットでは芯ズレが起きる場合があり、締結不良や傾きの原因になることもあります。 そのため、適切な寸法精度と使用条件に応じた選定が重要となります。
当社が手掛ける高ナットの特徴
当社では、高ナットを単なる規格品としてではなく、お客様仕様に合わせた加工部品として対応しております。
標準寸法だけでなく、
・特寸長さ対応
・追加工対応
・貫通穴加工
・段付き加工
・表面処理一括対応
など、用途に応じた製作が可能です。
また、小ロット試作から量産まで柔軟に対応しており、材質変更や特殊仕様についてもご相談いただけます。
さらに、寸切りボルトや関連部品との組み合わせ提案も可能なため、部品調達の一括化にも貢献しています。

当社の高ナット実績製品のご紹介
鉄 高ナット 製作品

こちらは、医療関係の産業機器に組み込まれる、高ナットになります。
片側に±0.5°の傾斜をつけてほしいとのご依頼を頂きました。
自動機にて加工条件を最適化することで、公差通りの高精度に仕上げることが出来ました。
SS400 高ナット 製作品
高ナットの特注製作・追加工なら、(株)山崎にお任せください
高ナットは、一般的な六角ナットとは異なり、「接続」「延長」「位置調整」といった機能を持つ重要な締結部品です。
特に、寸切りボルトとの組み合わせや設備支持用途では欠かせない存在となっており、建築設備・産業機械・電気設備など幅広い分野で活用されています。
また、使用環境に応じた材質・表面処理・寸法選定を行うことで、設備全体の信頼性や施工性向上にもつながります。
当社では、標準品だけでなく特注加工や追加工にも柔軟に対応しております。高ナットに関するお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
