技術コラム
スタッドボルトとは?特徴と材質別の用途を解説

スタッドボルトとは?その基本構造と特徴
スタッドボルトは、両端または片端にねじ山を持つ棒状の締結部品であり、主に二つの部材を接合するために用いられます。頭部を持たない点が特徴で、ナットと組み合わせて使用します。
スタッドボルトは、使用される環境や要求条件に応じて、さまざまな強度を持つ材質で製造されます。一般的には、炭素鋼や合金鋼などの金属材料が用いられ、熱処理を施すことで所定の強度を発揮します。強度の区分は、引張強度などによって定められており、設計者は締結対象となる部材や、そこに作用する荷重を考慮して、適切な強度のスタッドボルトを選定する必要があります。
適切な強度のスタッドボルトを使用することで、締結部の信頼性と安全性の確保につながります。強度が不足している場合、予期せぬ破断や緩みが生じ、重大な事故につながる可能性があります。逆に、過剰な強度のスタッドボルトを選定すると、コストが増加するだけでなく、部材に不必要な応力を与える可能性もあります。
スタッドボルトの種類と用途
スタッドボルトは、形状やねじ部の構造によりいくつかの種類があり、それぞれの用途に適した設計がなされています。以下に代表的な4種類をご紹介します。
両ねじスタッドボルト
中央にねじのない胴部を持ち、両端にねじ山があるタイプです。一方の端を部材にねじ込み、もう一方で別の部材をナットで締結します。繰り返しの組み立てや分解があるフランジやカバーなどに多く使われ、胴部によりねじ山の損傷も防げます。
全ネジ
全長にわたってねじ山があり、必要な長さに切って使えるのが特徴です。ナットで両側から締め付けるほか、片側をねじ込んで使用することも可能で、汎用性が高いタイプです。
寸切りボルト
全ねじタイプと同様にねじ山が全体にありますが、一定の長さにあらかじめ切断された状態で提供されます。現場での切断作業が不要で、作業効率が向上します。治具や構造物の締結などに幅広く利用されます。
植え込みボルト
植込み側とナット側があり、植込み側を機械本体などに固定し、もう一方をナットなどで固定して締結します。両端ネジ部の長さが異なる場合も多く、装置の部品固定やフレーム接合に適しています。
スタッドボルトは、締結する部材の材質や形状、必要な強度や作業環境を考慮して選定することが重要です。それぞれの特性を理解し、適切なタイプを使うことで、信頼性と作業効率を高めることができます。
材質別スタッドボルトの用途と特性
スタッドボルトは、使用環境や求められる機械的特性に応じて、さまざまな材質で製造されます。適切な材質を選定することで、締結部の耐久性、耐食性、強度を確保することができます。ここでは代表的な材質ごとの用途と特性についてご紹介します。
ステンレス製スタッドボルト
ステンレス鋼はクロムを主成分とし、ニッケルやモリブデンを添加することで優れた耐食性を持ちます。SUS304やSUS316などのオーステナイト系ステンレスは非磁性で、化学的に安定した環境での使用に適しています。
用途
化学プラント、食品機械、医療機器、海洋環境など、腐食が懸念される場面で使用されます。また、美観が求められる装飾用途にも使用されます。
特性
・優れた耐食性
・比較的高い強度
・非磁性(オーステナイト系)
・高温環境でも安定した性能
アルミニウム製スタッドボルト
アルミニウム合金は軽量でありながら強度があり、機械加工性も良好です。磁気の影響を受けにくいため、電子機器などにも適しています。
用途
航空機、自動車、電子機器、軽量構造物などに利用されます。
特性
・非常に軽量
・良好な熱伝導性
・非磁性
・耐食性(合金の種類による)
※酸やアルカリにはやや弱い場合があります
SS400製スタッドボルト
SS400は一般構造用圧延鋼材で、炭素鋼の一種です。溶接性が高く、コストパフォーマンスにも優れているため、汎用的に使用されています。
用途
建築構造物、一般産業機械、プラント設備などの構造部材。
特性
・優れた溶接性
・安価で入手性が高い
・標準的な強度
※耐食性は低めのため、メッキ処理などが推奨されます
SNB7製スタッドボルト
SNB7はクロムやモリブデンを含む合金鋼で、熱処理によって高い引張強度と耐久性を実現します。高荷重や高温環境下での使用に適しています。
用途
高圧機器、発電設備、高荷重構造物など。
特性
・非常に高い引張強度と降伏点
・耐摩耗性、耐疲労性に優れる
※耐食性は通常の鋼材と同程度で、必要に応じて表面処理が必要です
当社の特注スタッドボルトの特徴とは?
規格品の追加工、金属部品の樹脂化など断られやすいご相談にも対応
当社は、規格品の追加工や金属部品の樹脂化など、他社では断られやすいご相談にも柔軟に対応しています。熟練した技術者が特殊な仕様にも的確に応えます。特に、金属部品の樹脂化では、軽量化やコスト削減、耐腐食性向上など、部品性能の最適化を目指した提案を行います。
また、ポンチ絵からの製作や、現物からのリバースエンジニアリングの実績も多数ございます。
海外調達による量産品のコストダウンも可能
当社は、海外調達を活用した量産品のコストダウンにも対応しております。グローバルな調達ネットワークを駆使し、コストパフォーマンスの高いネジ製品をお客様に提供します。海外での生産によるコスト削減を実現しつつ、品質管理については一切妥協していません。
当社では、海外製の製品を自社内で厳格に検査する体制を整えており、寸法精度や表面仕上げなど、あらゆる項目で高い品質基準をクリアした製品のみをお届けします。また、長年培ったノウハウを基に、製品の仕様や設計に合わせた最適な製造パートナーを選定し、量産体制を構築しています。
スタッドボルトの製品事例をご紹介
寸切り 追加工

治具で使用される寸切りの事例です。お客様は、市販品では全長公差がないため、製品にばらつきがあり使用できないという課題を抱えていました。
そこで、社内で長尺の寸切りを仕入れてカットし、NC旋盤にて全長を指定公差(±0.1mm)に仕上げました。
インチネジスタッドボルト

特注インチスタッドボルトの製品事例です。
当社が、社内で全加工にて対応。お客様との打ち合わせで「錆びにくいことが重要」というご要望を伺い、材質をSUS304からSUS303に変更することで、切削性を向上させ、加工コストを削減しました。
六角加工 寸切りボルト 追加工

S45C製寸切ボルトです。NC旋盤を用いて正六角形に加工。対辺に0.1レンジの公差がありましたが、機械精度で高精度に仕上げました。
規格品への追加工により、お客様の作業効率向上に貢献する寸切ボルトを提供しました。
スタッドボルトは特注ネジ加工・製作センター .comにお任せ!
いかがでしたでしょうか。本コラムでは、スタッドボルトと特徴や、材質別スタッドボルトの特徴や用途を解説いたしました。
当社では標準的なネジから特殊形状のカスタムネジまで、高精度な製品を提供しております。ネジだけではなく、ナットや、ワッシャー、リベット・ピンの加工も行っています。また、チタンなどの難削材や、極細目などの特殊規格にも対応可能で、設計段階から製造まで一貫してサポートいたします。
スタッドボルトをはじめ、特注ネジの製作をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。