技術コラム
ネジ加工の基本を解説!加工方法ごとの特徴・メリット・デメリット
本コラムでは、代表的なネジ加工方法について、それぞれの特徴や加工方法、メリット・デメリット、採用される場面を解説します。
ネジの加工方法とは?
ボルトやナット、機械部品などに欠かせない「ネジ」。一見すると同じように見えるネジ製品でも、その製造方法は用途や求められる性能によって大きく異なります。
例えば、大量生産に適した転造加工、高精度な特殊ネジの製作に用いられる切削加工、ナットや部品の内ネジを形成するタップ加工など、それぞれの加工方法には特徴や得意分野があります。また、加工方法の違いは製品の強度や精度、生産性、コストにも大きく影響するため、適切な工法を選定することが重要です。
さらに近年では、製品の高機能化や軽量化に伴い、特殊ネジや追加工品へのニーズも増加しており、ネジ加工技術はますます重要な役割を担っています。
本コラムでは、代表的なネジ加工の種類について、それぞれの特徴や加工方法、メリット・デメリット、採用される場面を分かりやすく解説します。
転造加工
転造加工とは
転造加工とは、ネジ山を削って作るのではなく、専用のダイスで材料を圧縮しながら塑性変形させてネジ形状を成形する加工方法です。
現在市場に流通している六角ボルトや小ネジ、寸切りボルトなどの多くは、この転造加工によって製造されています。
切削加工と比較すると、生産効率が非常に高く、品質のばらつきも少ないため、締結部品の量産工法として広く採用されています。

加工方法
丸棒材料を転造機へ投入し、転造ダイスの間に挟み込みながら圧力をかけてネジ山を形成します。
材料を削るのではなく押し出して成形するため、材料の繊維組織が切断されず、そのままネジ山に沿って流れる構造となります。
メリット
転造加工最大のメリットは強度です。
材料組織が連続した状態でネジ山が形成されるため、切削ネジと比較して疲労強度や耐久性に優れています。
また加工速度が速く、切りくずも発生しないため、大量生産に適しています。
さらに表面粗さも良好で、滑らかなネジ山を形成できる点も特徴です。
デメリット
一方で、転造には専用金型が必要となるため、少量生産ではコストメリットが出にくいという欠点があります。
また、特殊ピッチや特殊形状への対応は難しく、標準規格品向けの加工方法といえます。
採用される場面
- 六角ボルト
- 小ネジ
- 寸切りボルト
- イモネジ
- 建築用締結部品
など、大量生産される締結部品で広く採用されています。
切削加工
切削加工とは
切削加工は、旋盤やマシニングセンタなどの工作機械を用いて、材料を削りながらネジ形状を形成する加工方法です。
転造加工では対応できない特殊寸法や特殊形状のネジ製作に欠かせない工法です。
加工方法
切削工具を用いて材料表面を削り、ネジ山を一山ずつ形成します。
外ネジだけでなく内ネジにも対応可能であり、設計自由度の高い加工方法です。
メリット
切削加工は自由度の高さが最大の特徴です。
特殊ピッチ、特殊径、段付き形状、長尺ネジなど、転造では困難な仕様にも対応できます。
また試作品や少量生産にも適しており、開発段階での採用も多く見られます。
デメリット
加工時間が長くなるため、量産品ではコストが高くなる傾向があります。
また材料組織を切断するため、強度面では転造品が有利になる場合があります。
旋盤・フライスでの加工方法について、詳しくは以下にて紹介いたします。
旋盤加工によるネジ加工
旋盤によるねじ切り加工とは
旋盤加工は、特殊ネジ製作において非常に重要な加工方法です。
汎用旋盤やNC旋盤を使用し、ねじ切りバイトによってネジ山を形成します。

加工方法
ワークを回転させながら、送り装置と同期してバイトを移動させることでネジ山を削り出します。
外ネジだけでなく内ネジ加工も可能です。
メリット
特殊ピッチや細目ネジ、台形ネジなどにも対応できる点が大きな特徴です。
また大径ネジや試作品の製作にも適しています。
図面指定によるオーダーメイド製作では欠かせない工法です。
デメリット
加工には高度な技術が必要であり、加工時間も長くなります。
そのため量産品には不向きです。
採用される場面
- 特殊ボルト
- 特殊ナット
- 大径ネジ
- 台形ネジ
- 治具部品
などで採用されています。
フライス加工によるネジ加工
フライス加工とは
フライス加工によるネジ加工は、マシニングセンタなどを利用してネジ山を形成する方法です。
近年ではスレッドミル加工として広く普及しています。

加工方法
回転する工具を螺旋状に移動させながらネジ山を形成します。
加工プログラムによって自由度の高いネジ加工が可能です。
メリット
大径ネジや難削材への加工に優れており、高精度なネジ製作が可能です。
またタップ折損のリスクが少なく、深穴加工にも対応しやすいという特徴があります。
デメリット
設備コストが高く、加工プログラムの作成も必要となります。
小径ネジではタップ加工の方が効率的な場合もあります。
採用される場面
- 半導体装置部品
- 航空機部品
- 金型部品
- 高精度機械部品
- アルミ加工品
など、高精度が求められる製品で活用されています。
タップ加工
タップ加工とは
タップ加工は、穴の内部にネジ山を形成する代表的な内ネジ加工方法です。
ナットはもちろん、機械部品やプレート部品など、多くの製品に採用されています。

加工方法
まず下穴を加工し、その後タップ工具を回転させながら切削を行います。
近年ではNC機械による自動タッピング加工も普及しています。
メリット
加工速度が速く、比較的安価に内ネジを製作できます。
また工具の種類も豊富で、量産性にも優れています。
標準的なメネジであれば最も効率的な加工方法といえるでしょう。
デメリット
大径ネジや特殊ピッチネジへの対応は難しく、深穴加工では切りくず詰まりやタップ折損のリスクがあります。
特に止まり穴では加工条件に注意が必要です。
採用される場面
- 六角ナット
- 高ナット
- 機械部品
- プレート部品
- 治具部品
など、幅広い分野で利用されています。
ネジ加工のご相談なら、(株)山崎にお任せください
ネジ加工には転造加工、切削加工、タップ加工、旋盤によるねじ切り加工などさまざまな方法があります。
それぞれ得意とする分野が異なり、製品形状や使用環境、生産数量に応じて最適な工法を選択することが重要です。
また、ネジ加工後には先端加工や脱落防止加工などの追加工を施すことで、より高機能な製品へと仕上げることができます。
当社では、標準品の追加工から特殊ネジの製作まで幅広く対応しております。ご依頼頂いた製品の特徴によって、最適な加工方法をご提案いたします。
ネジ加工に関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。