技術コラム
左ねじ・右ねじとは?使い分ける理由と用途を分かりやすく解説
普段何気なく使用しているねじの多くは右ねじで、時計回りに回すと締まり、反時計回りに回すと緩む構造になっています。一方、左ねじは回転方向が右ねじとは逆で、反時計回りに回すことで締まり、時計回りに回すことで緩む構造です。
本コラムでは、右ねじ・左ねじの基本的な違いから、使い分ける理由、代表的な用途、加工方法、選定時の注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
「右ねじ」と「左ねじ」
ねじと聞くと、一般的には「右に回すと締まるもの」をイメージする方が多いのではないでしょうか。
実際、私たちが普段使用しているボルトやナットの多くは右ねじです。
右ねじは、ボルトやナットを正面から見たとき、時計回りに回転させると締まり、反時計回りに回転させると緩む構造になっています。
一方、左ねじは回転方向が逆です。反時計回りに回すと締まり、時計回りに回すと緩みます。
つまり、右ねじと左ねじの大きな違いは、ねじを締める方向が反対であることです。
一般的な機械部品では右ねじが標準的に使用されているため、左ねじは特殊なねじと思われるかもしれません。
しかし、実際には特定の機械や回転部品などで重要な役割を持っています。

「右ねじ」とは
右ねじとは、時計回りに回すことで締め込まれる一般的なねじのことです。
例えば、ボルトにナットを取り付ける場合、ナットを右方向、つまり時計回りに回すと奥へ進みます。
ホームセンターなどで販売されている一般的なボルト・ナットや、産業機械で使用される多くの締結部品も右ねじです。

右ねじが広く普及している理由の一つは、規格化されており、さまざまな部品と組み合わせやすいことです。
例えば、M6の右ねじボルトであれば、基本的にM6の右ねじナットと組み合わせて使用できます。
そのため、特別な理由がない場合には、一般的な右ねじを使用するケースが多くなります。
右ねじが使用される代表的な製品
●六角ボルト
●六角穴付ボルト
●小ねじ
●寸切りボルト
●ナット
●イモネジ
●スタッドボルト
●各種機械部品
このように、一般的な締結部品の多くは右ねじです。
「左ねじ」とは
左ねじは、右ねじとは反対に、反時計回りに回すことで締まるねじです。
「左ネジ」「左ねじ」と表記されるほか、「LH(Left Hand)」と表記される場合もあります。
例えば、通常の右ねじの場合、ボルトを時計回りに回転させることで締め付けます。しかし左ねじの場合は、反時計回りに回すことで締め付けます。

そのため、右ねじと左ねじは同じ呼び径であっても、基本的には互換性がありません。
例えば「M10」という呼び径だけが同じでも、右ねじのM10ボルトと左ねじのM10ナットを組み合わせて使用することはできません。
左ねじを使用する場合には、ボルト・ナットの両方を左ねじ仕様にする必要があります。
なぜ「左ねじ」が必要なのか?
左ねじが使用される大きな理由は、回転による緩みを防止するためです。
機械の回転部品では、部品そのものが回転することで、締結部に繰り返し力や回転方向の力が加わります。
このとき、締結に使用しているねじの方向と、部品に作用する回転方向の組み合わせによっては、ねじを緩める方向の力が発生することがあります。
一般的な右ねじを使用している場合、使用中の回転によってナットなどが緩む可能性があるため、その部分を左ねじに変更することで、使用中の回転によって締まる方向になるよう設計することがあります。
ただし、「左ねじにすれば絶対に緩まない」というわけではありません。
実際の緩みには、締付軸力、摩擦、振動、荷重、部品形状などさまざまな要因が関係します。そのため、左ねじはあくまで使用条件に応じた緩み対策の一つとして考えることが重要です。
「左ねじ」が使われる代表的な場面
左ねじは、特に回転方向によってねじが緩む可能性がある場所で使用されます。

回転する機械部品
モーターや回転軸など、回転運動を伴う機械では、締結部品に回転方向の力が作用します。
そのため、部品の回転方向や締結構造によっては、右ねじではなく左ねじを採用する場合があります。
自転車などの回転部品
自転車などでも、回転方向や部品構造に応じて左ねじが使用される例があります。
このような製品では、単純に「すべて右ねじ」にするのではなく、使用中の回転によって緩みが発生しないよう、場所によってねじ方向を使い分けています。
回転工具・機械装置
回転工具や各種産業機械では、回転する部品を固定するためのねじに左ねじが採用される場合があります。
特に、高速回転する部品では、締結部品が緩むと機械の故障や部品の脱落につながる可能性があるため、回転方向を考慮したねじの選定が重要です。
配管・ホースなどの接続部
一部の特殊な接続部では、用途や安全上の理由から左ねじが採用されることがあります。
ただし、配管用ねじにはさまざまな規格が存在するため、単純に「左ねじだからこの規格」という判断はできません。使用する規格や設備の仕様を確認する必要があります。
左ねじは「緩み防止」以外にも使用される
左ねじには、回転による緩み防止以外にも用途があります。
例えば、左右のねじ方向を変えることで、回転方向や移動方向を制御する機構などです。
また、右ねじと左ねじを組み合わせることで、1本の部品を回転させた際に両側の部品を同時に近づけたり、遠ざけたりする機構を作ることもできます。
このような構造は、調整機構や位置決め機構などで利用されます。
つまり左ねじは、単純な「緩み防止用のねじ」ではなく、機械の動作や調整機構を成立させるためのねじとしても利用されています。
右ねじと左ねじはどのように使い分ける?
右ねじと左ねじを選定する際には、まず部品がどのように動くのかを確認することが重要です。
特に回転部品では、
●回転方向
●回転速度
●回転軸との位置関係
●締結部に作用する力
●振動の有無
●締結方法
などを確認します。
例えば、回転によって右ねじが緩む方向に力が作用する場合、左ねじを採用することで、回転時に締まる方向へ力が作用する構造にできる可能性があります。
一方、回転しない一般的な機械部品であれば、規格品が豊富で入手しやすい右ねじを使用する方が扱いやすいでしょう。
左ねじを製作するときの加工方法
左ねじは特殊なねじではありますが、専用の特殊な材料を使用しなければ製作できないというものではありません。
製品の形状や数量、材質などに応じて、切削加工や転造加工などによって製作できます。

旋盤による左ねじ加工
旋盤では、工具の送り方向や主軸の回転などを設定することで、左ねじを切削加工できます。
特注品や少量生産の場合には、図面に指定された呼び径・ピッチ・ねじ長さなどを確認し、旋盤加工によって製作する方法があります。
特に、市販品では入手しにくい特殊寸法の左ねじボルトやシャフトなどでは、切削加工による製作が選択肢となります。
ダイスによる加工
外ねじの場合、ダイスを使用して左ねじを加工することもできます。
ただし、一般的な右ねじ用の工具とは異なるため、左ねじ用の工具を準備する必要があります。
タップによる左ねじ加工
メネジについても、左ねじ用のタップを使用することで加工できます。
通常の右ねじ用タップと左ねじ用タップは異なるため、加工時にはねじ方向を間違えないよう注意が必要です。
左ねじと右ねじを組み合わせることもできる
特殊な機械部品では、右ねじと左ねじを1つの部品に組み合わせることもあります。
例えば、1本のシャフトの片側を右ねじ、反対側を左ねじにする構造です。
このような部品を回転させると、両側のナットや部品を同時に締めたり、逆方向へ移動させたりできます。
この構造を利用すると、1つの操作で2か所を同時に調整できるため、位置調整機構などに利用できます。
このような特殊なねじ形状は市販品では見つけにくいことも多く、特注加工によって製作するケースがあります。
左ねじを選定する際は「なぜ左ねじなのか」を確認する
左ねじを使用する際に重要なのは、「左ねじにすること」そのものではなく、なぜ左ねじが必要なのかを明確にすることです。
例えば、
「回転による緩みを防止したい」
「左右の部品を同時に調整したい」
「既存部品が左ねじ仕様になっている」
など、用途によって適切な設計は変わります。
特に回転部品の場合は、回転方向だけでなく、実際にどの方向へ力が作用するのかを確認する必要があります。
単純に「回転するから左ねじ」と決めるのではなく、回転方向と締結部に作用する力を確認したうえで、右ねじ・左ねじを選定することが重要です。

右ねじ・左ねじ製品のご相談は、(株)山崎にお任せください
右ねじは時計回りに回すことで締まり、左ねじは反時計回りに回すことで締まります。
一般的なボルトやナットには右ねじが使用されていますが、回転部品などでは、使用中の回転によってねじが緩むことを防ぐ目的で左ねじが採用される場合があります。
また、左ねじは緩み対策だけでなく、右ねじと組み合わせて調整機構や位置決め機構を構成するなど、さまざまな用途で活用されています。
左ねじは市販品の選択肢が右ねじより限られる場合がありますが、旋盤加工・ダイス加工・タップ加工・転造加工などによって特注製作することが可能です。
当社では、一般的な右ねじだけでなく、左ねじのボルト・ナット・寸切りボルト・特殊ねじなどの特注製作にも対応しております。
「市販の左ねじでは寸法が合わない」「左ねじの特殊形状を製作したい」「右ねじと左ねじを組み合わせた部品を作りたい」など、特殊なねじに関するご相談もお気軽にお問い合わせください。