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技術コラム

インチスタッドボルトとは?規格外品や用途について特注ネジ加工のプロが解説!

インチネジスタッドボルト
「製品の組み立てにインチ規格のスタッドボルトが必要なのに、市販品では見つからない…」とお困りではありませんか?航空宇宙、建築、プラント設備など、特定の産業分野で今なお必要とされるインチ規格のスタッドボルト。本記事では、特注ネジ加工のプロが、その基本から規格概要、規格外品の用途や課題、そして当社の特注製作事例までを詳しく解説いたします。規格品でお困りの方も、特殊な仕様をご希望の方も、ぜひ最後までお読みください。

インチスタッドボルトとは?

インチスタッドボルトとは、インチ規格のネジが切られたスタッドボルトのことです。スタッドボルトとは、両端または一部にねじ山が切られた棒状の締結部品です。主に二つの部材を結合する際に使用され、一方の部材にねじ込み固定した後、もう一方の部材を重ねてナットで締め付けるという手順で用いられます。この構造により、高い締結力が必要な箇所や、頻繁な分解・組み立てが求められる部位、スペースが限られた場所での締結に適しています。

インチ規格のねじが特定の産業分野で用いられる背景には、歴史的な経緯があります。「インチ」とは、ヤード・ポンド法における長さの単位で、1インチ(inch)は25.4㎜に相当します。メートル法が国際的な標準となる以前に、ヤード・ポンド法を使用していたアメリカやイギリスなどでインチ規格のねじが広く採用されていました。現在でも、アメリカを中心に、過去の規格との互換性や、それぞれの産業における標準規格としてインチねじが用いられています。このため、航空宇宙産業、建築業界、プラント設備など、アメリカ企業との取引が多い分野では、日本でもインチ規格の部品が使われ続けています。

インチスタッドボルトの規格概要

インチ規格のスタッドボルトは、その名の通りインチサイズ(inch)を基準としたねじ製品です。インチねじは、太さとピッチ(1インチあたりのねじ山の数)によって規格が定められています。メートル規格のスタッドボルトとは、ねじ山の形状やピッチが異なるのはもちろんのこと、その背景にある規格体系も異なります。

インチねじには、主にユニファイねじとウィットねじの2種類が存在します。現在ではユニファイねじが主流となっていますが、一部の産業や古い規格が残る分野ではウィットねじも依然として採用されています。ユニファイねじとウィットねじは、同じ太さや比較的短い長さのねじであれば、一部のサイズにおいて互換性が見られる場合がありますが、基本的なねじ山の規格が異なるため、原則として別物として扱う必要があります。

ユニファイねじ(Unified Thread Standard)

ユニファイねじは、アメリカ国家規格協会(ANSI)によって定められた統一(unified)ねじ規格です。ユニファイねじには、ピッチの粗さによって主に以下の2つの種類があります。

  • UNC(Unified Coarse Thread)
    並目ねじと呼ばれ、ピッチが粗いため、ねじ山のかみ合いが深く、緩みにくいという特徴があります。一般的な締結用途に幅広く用いられます。(JIS B 0206:1973 にも規定があります)
  • UNF(Unified Fine Thread)
    細目ねじと呼ばれ、並目ねじよりもピッチが細かいため、より精密な締結が可能で、緩みにくい特性も持ち合わせています。振動が多い箇所や、より高い締結力が求められる場合に適しています。JIS B 0208:1973 にも規定があります)
  •  

ユニファイねじのねじ山の角度は60度です。ただし、アメリカのASME/ANSI規格のねじは、日本のJIS/ISO規格のユニファイゲージで測定した場合、ゲージに入らないことがある点には注意が必要です。

ウィットねじ(Whitworth Thread)

ウィットねじは、イギリスの古い規格のねじです。ユニファイねじとは異なり、日本のJIS規格は1968年に廃止されていますが、一部業界では現在も根強く採用されています。規格を示す記号としては「W」が用いられます。ウィットねじのねじ山の角度は55度です。

インチスタッドボルトの材質は、用途や要求される強度、耐食性などに応じて多種多様なものが用いられます。一般的な材質としては、炭素鋼(S45Cなど)やステンレス鋼(SUS304、SUS316など)があります。

適切なインチスタッドボルトを選定する際には、使用環境、締結する部材の種類、求められる強度などを総合的に考慮し、適切な規格、材質、強度区分を選択することが重要です。

規格外インチスタッドボルトの用途や課題

規格外のインチスタッドボルトに対するニーズは、決して少なくありません。

標準的な規格品では対応できない 規格外 な長さ、特殊な材質、あるいは特定の表面処理が求められる場面は多岐にわたります。例えば、既存の設備や機械の改修、特殊な環境下での使用、あるいは特注製品への組み込みなどが挙げられます。

少量多品種生産においては、必要なインチスタッドボルトを少量だけ調達することが難しいという課題があります。多くの部品メーカーは大量生産を前提としているため、 特注仕様や少量ロットの注文には対応できない場合があります。

また、図面が存在しない、あるいは現物しかないといった状況下での対応も求められます。このような場合、リバースエンジニアリングのような形で同じ仕様のインチスタッドボルトを製作する必要が生じます。

これらのニーズに対応するためには、 柔軟な生産体制と高度な技術力を持つ加工業者の存在が不可欠となります。

特注ネジ加工・製作センターの特徴とは

様々な形状の特注製作実績 多数

当社では標準的なネジから特殊形状のカスタムネジまで、精度な製品を提供しております。ネジだけではなく、ナットや、ワッシャー、リベット・ピンの加工も行っています。また、チタンなどの難削材や、極細目などの特殊規格にも対応可能で、設計段階から製造まで一貫してサポートいたします。

特注ネジの製作をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。

規格品の追加工、金属部品の樹脂化など断られやすいご相談にも対応

当社は、規格品の追加工や金属部品の樹脂化など、他社では断られやすいご相談にも柔軟に対応しています。熟練した技術者が特殊な仕様にも的確に応えます。特に、金属部品の樹脂化では、軽量化やコスト削減、耐腐食性向上など、部品性能の最適化を目指した提案を行います。

また、ポンチ絵からの製作や、現物からのリバースエンジニアリングの実績も多数ございます。

「他社で断られて困っている」という課題がございましたら、ぜひ当社にご相談ください。

ネジに精通したプロによるQCD向上に繋がる提案

当社は、ネジに精通したプロフェッショナル集団として、お客様のQCDの向上に貢献する提案を行っています。熟練した設計エンジニアが使用用途に応じた最適な材質や形状を分析し、性能とコストのバランスを追求したVE提案を実施。無駄を省き、製品の付加価値を最大限に引き出します。

「高品質なネジで課題を解決したい」、「コスト削減を図りたい」とお考えのお客様、ぜひ当社にご相談ください。

インチスタッドボルトの製品事例をご紹介

インチスタッドボルト

お客様は、製品組付けのためにインチネジの指定した長さの製品を探していましたが、市販品では見つからず困っていました。

そこで当社が、社内で全加工にて対応。お客様との打ち合わせで「錆びにくいことが重要」というご要望を伺い、材質をSUS304からSUS303に変更することで、切削性を向上させ、加工コストを削減しました。

>>詳細はこちら

インチスタッドボルトなら特注ネジ加工・製作センターにお任せください。

いかがでしたでしょうか。

流通が少なく入手困難なインチネジ仕様のスタッドボルトですが、当社では特注対応が可能です。

規格品では見つからないサイズや仕様についても、ぜひご相談ください。当社では最適な材質のご提案も行いますので、お気軽にご相談ください。

>>お問い合わせはこちら

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